成尾整形外科病院

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妊娠中や授乳中に骨折!?妊娠後骨粗鬆症(PLOP)の原因と対策を徹底解説

妊娠中や授乳中に骨折!?妊娠後骨粗鬆症(PLOP)の原因と対策を徹底解説


【妊娠後骨粗鬆症(PLOP)とは?】

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妊娠後骨粗鬆症(Pregnancy and Lactation-Associated Osteoporosis、以下PLOP)とは、妊娠や授乳をきっかけに骨密度が急激に低下し、骨折しやすくなる病気です。

典型的な症状としては、分娩直前から産後6ヶ月までに腰背部痛を主訴とし、主に椎体の脆弱性骨折を伴います。当院でもPLOPの患者さんの治療を行っております。

骨粗鬆症とは、骨の密度が減り、もろくなる状態を指しますが、PLOPは妊娠中や産後に限定して起こる点で一般的な骨粗鬆症とは異なります。この病気は稀ではありますが、適切な知識と対策が大切です。以下で、原因や症状、予防法について詳しく解説します。


【PLOPの原因:妊娠や授乳が骨に与える影響】

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PLOPの主な原因は、妊娠と授乳が体内のカルシウムバランスに影響を与えることです。妊娠中は、赤ちゃんの骨や歯を作るために母体のカルシウムが多く消費されます。同様に授乳中も、母乳を通じて大量のカルシウムが失われます。

さらに、妊娠中は女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が増加します。このホルモンは通常、骨を守る役割を果たしますが、産後に急激に減少するため骨密度が低下しやすくなるのです。

他にも、以下の要因がPLOPのリスクを高めると考えられます:

  • 妊娠前の骨密度が低い
  • 栄養不足やカルシウム摂取量の不足
  • 遺伝的要因や家族に骨粗鬆症の既往がある場合

【PLOPの症状と診断:腰痛や背中の痛みがサイン?】

PLOPの典型的な症状は、突然の腰痛や背中の痛みです。この痛みは、脊椎の圧迫骨折によって引き起こされることが多く、特に産後数週間から数ヶ月の間に現れることが一般的です。

その他の症状としては以下のようなものがあります:

  • 身長の低下(背骨の骨折による)
  • 姿勢の変化(猫背など)
  • 日常生活での動作制限

PLOPを診断するためには、骨密度を測定する検査(骨密度測定)やX線撮影が行われます。また、血液検査でカルシウムやビタミンDの不足を確認することもあります。


【PLOPの予防と対策:日常生活でできること】

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妊娠後骨粗鬆症は、予防と早期対応が非常に重要です。以下のポイントを押さえて、骨の健康を守りましょう。

1. 十分なカルシウムとビタミンDの摂取

カルシウムは骨の主成分であり、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品や、小魚、ほうれん草などを積極的に取り入れましょう。また、日光浴もビタミンDの生成に効果的です。

2. 適度な運動

骨は負荷がかかることで強くなります。ウォーキングや軽い筋トレを日常に取り入れることで、骨密度の低下を防ぐことができます。

3. 早期診断と治療

腰痛や背中の痛みが続く場合は、自己判断せずに医師に相談しましょう。骨密度が低下している場合、治療薬やホルモン療法が検討されることがあります。


【まとめ】

妊娠後骨粗鬆症(PLOP)は、妊娠や授乳によるホルモンバランスの変化や栄養不足が原因で起こる病気です。腰痛や背中の痛みなどの症状を軽視せず、早めに医療機関を受診することが重要です。

普段からカルシウムやビタミンDを十分に摂取し、適度な運動を心がけることで予防が可能です。妊娠中から骨の健康を意識した生活を送り、元気に子育てを楽しみましょう。

【参考文献】Hofbauer, L. C. (2024). Building Bone while Making Milk. New England Journal of Medicine, 391(22), 2132-2134

 

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